第20210601号
「恐れることはありません」
市川教会
平塚修久
キングダム【20210601】号
「恐れることはありません」 「小さな群れよ、恐れることはありません。あなたがたの父は、喜んであなたがたに御国を与えてくださるのです。」(ルカ12:32) とても印象深い御言葉です。この時の弟子たちが、総勢何名であったかは分かりませんが、この時、「数えきれないほどの群衆が集まって来て、足を踏み合うほどになった」と聖書は記しています(ルカ12:1)。そこには、群衆に取り囲まれる弟子たちの小ささがあったのです。主イエスは、この後弟子たちが、こうした群衆に取り囲まれて、どういう経験をするようになるかを、よく知っておられたに違いありません。この群衆は、やがて主イエスを十字架につけることになる群衆です。弟子たちは、その群衆の中で、主イエスの足跡を辿らなければならなくなるのです。 私たちも同じかもしれません。私たち自身の生活の中に、いつも見えてくる小ささがあります。その小ささの中に、自分を失うまいと恐れる恐れがあるのです。小さい者であるがゆえに、無視されることを恐れる思いがあるのです。軽んじられることに対する恐れがあるのです。 しかし、主イエスは、そんな私たちに向かって、ご自分の全存在をかけて言われるのです。「小さな群れよ、恐れることはありません。あなたがたの父は、喜んであなたがたに御国を与えてくださるのです」。 神は、この小さい群れの父となってくださるのだ。そして、喜んで神の国をくださる。神の国とは、神の支配という意味です。つまり、神のご支配の下に生きる者としてくださるというのです。主イエスは、「主の祈り」の中で、「父よ、御国が来ますように」と祈るように教えられました(ルカ11:2)。そうです。私たちは祈るのです。御国の到来を求めて世界中のキリスト者たちが祈るのです。その祈りに、主イエスは答えてくださるのです。この小さな群れである私たちは、どのようにして恐れから解き放たれ、恐れに立ち向かうことができるのでしょうか。それは、祈ることです。「私たちの父なる神よ、御国を来たらせたまえ」と祈るのです。その祈りにおいて、神様は御国をすでに与えてくださっている、神の支配はすでにここにある、ということを確信するのです。それが、主の励まし、主の慰めです。 主イエスは、十字架にかけられて救いの道を開かれました。主イエスは、何もしないで、ただ「心配するな」と、安請け合いで言われるようなお方ではありません。神の御子としての命のすべてを十字架に注ぎ込んで、「小さな群れよ、恐れるな。あなたがたの父は喜んで神の国をくださる」と言ってくださったのです。キリストを信じるすべての人々が、神のご支配の下で守られ、導かれ、永遠に心安らかに生きることができるために、命を賭けて私たちをお救いくださったのです。 キングダム2021年6月号より