第45回  「4つのすすめ」
福島第一聖書バプテスト教会 

牧師 佐藤彰
 

 1、喜び
 「いつも主にあって喜びなさい。もう一度言います。喜びなさい」(ピリピ四章四節)

 パウロは、ピリピ教会に対して、4つのすすめをしました。第1は、喜びを大切に。「もう一度言います」と、再度言われなくても、一回言われればわかるはずですが、よほど大切だったのでしょう。しつこいようですが、「喜びなさい」と念押ししました。
 そもそも、現在のギリシャ北部に建てられたピリピ教会は、イタリアのローマの獄中にいたパウロにとっては、喜びの存在でした。第一に、この教会は、ヨーロッパに上陸して、最初に建てられた教会です(使徒一六・九〜一二)。第二に、この町での伝道は、非合法にむち打たれ、投獄されたりしながら、パウロ自身がシラスとともに、獄中からの賛美をささげ、奇跡を体験して、産声を上げた教会です(使徒一六・一九〜三五)。第三に、最初のクリスチャンは、現在のトルコ出身(テアテラ)の女性キャリアウーマンのルデヤで、以後、女性やクリスチャンホーム(看守一族の悔い改め)から始まった教会は(使徒16章)、温かい教会として、いつまでもパウロの伝道を祈り、献げ、支援し続けたのです(ピリピ四・一六〜一八)。ですから、ヨーロッパで最初に誕生したこの温かい教会に、ローマの獄中から宛てて書いたピリピ人への手紙は、別名「喜びの手紙」とも言われているのです(ピリピ一・四、二・一八、三・一)。
 教会の冠は喜びです。キリストにある喜び、救われた喜び、賛美に包まれた教会。昔、ある宣教師が初めて日本の教会を訪ねた際、「今日は葬式でしたか」と聞かれた話は少々オーバーかもしれませんが、そうであっては困ります。教会はキリストのみからだであり、キリストの宿られる宮ですから、そこには救いの喜びや、主にある交わりの喜びがかなでられているはずです。大体人は、暗くてじめじめした印象の場所には惹かれないと思います。教会には笑いが大切だとある本で述べられていましたが、ゲラゲラ笑う必要はないとしても、喜びをたたえる姿こそ、教会の第一の特徴としたいものです。

 2、寛容
 「あなたがたの寛容な心を、すべての人に知らせない。主は近いのです」(ピリピ四章五節)

 不思議なすすめです。終末が近いのであれば、すぐ路傍に繰り出して伝道をしたり、職場を辞してクルセードの企画をと考えがちですが、パウロはクリスチャンの寛容、すなわち親切とか優しさとかが、良い証しになるのだとすすめるのです。そう言えば、教会に恐る恐る足を踏み入れた多くの方々が導かれるきっかけは、説教も祈りもよくわからなかったけれど、そこで出会った人々が優しかったとか、今まで会った人々とどこか違っていたという点に惹かれて導かれるケースが多いのです。
 伝道は、機械的にテープレコーダー式にするものではありません。相手も生身の人間ですが、伝える側も人生や品性を通して、キリストご自身を紹介するのです。互いにピリピリしていない、許しあい、受け入れ合っている、そんなキリストにある雰囲気を教会の教会たるゆえんとし、温かい教会づくりを目指して、地域の人々の心安らぐ教会づくりに励みましょう。
 
  3、祈り
 「何も思い煩わないで、あらゆるばあいに、感謝をもってささげる祈りと願いによって、あなたがたの願い事を神に知っていただきなさい」(ピリピ四章六節)

 教会の動力は、一にも二にも祈りです。何かあったら、すぐ主に祈りましょう。心のうちにため込まないで、主に告げるのです。
 ある日曜日の礼拝後、教会学校で教えを聞いた五歳の子が立ち止まり、手を組んで、こう祈ったというのです。「神さま、これから家に帰ります。事故がないように守ってください。アーメン」。そして、「これでよし」と言って、晴れ晴れした表情で車に乗ったというのです。急に不安がよぎったのでしょう。そして、どんなことでも、躊躇なく祈れとの教会学校での教えを思い起こし、歩くのをやめ、祈り、すっかり安心しきって、帰途についたのだと思います。
 
  4、平安
  「そうすれば、人のすべての考えにまさる神の平安が、あなたがたの心と思いをキリスト・イエスにあって守ってくれます」(ピリピ4章7節)

 祈ることから来る安心や平安、教会から出てくる人が、出ると入るとでは全く別の平静をいただくとすれば、どんなにか良い証しでしょう。世が与えるこざかしい人の知恵ではありません。外は大嵐でも、キリストがともなる船の中では、いつも不思議に平安であるように、主とともにある印としての平和や平安が、絶えず教会や一人一人をガードして、揺るぎない安定を下さるようにと祈りましょう。
 何かとせちがらいこの時代、少なくともキリストの教会は主の臨在から来る不思議な平安が覆い、人々がここに救いと安らぎを見出す所となるように、油断せず、祈り続けましょう。


キングダム2006年3月号より