メッセージ


聖書箇所
ヨハネ1:4〜5
12月22日(日)
メッセージ

大久保旨子
説教題:「闇に輝く光」
 クリスマスの本当の意味を皆さんはご存知ですか。今でこそ世界中で盛大に祝われているクリスマスですが、世界で初めのクリスマスは今から2000年以上も前の昔に…貧しく、静かで、少ない人数の中で始まりました。2000年以上も前にベツレヘムという田舎町でイエスキリストはお生まれになりました。クリスマスとは、このイエスキリストのお誕生を記念してお祝いする日なのです。
 では何故イエスキリストの誕生は私たちにとって祝うべき事柄なのでしょうか。世界のバストセラーである聖書はイエスキリストが私たちにとっての「希望の光」であると語っています。
 人生の中で誰もが必ず通る困難や逆境、失敗や挫折、自分にはどうすることも出来ない問題、病のこと、経済的困難、人間関係においての悩み、そんな暗闇ともいえる人生の谷底において、イエスキリストは私たちに慰めを与え、私たちの今の悩みに寄り添ってくださってくださるのです。そして希望を与え、解決を与え、回復を与えてくださるお方なのです。
 「安けさは川のごとく」という賛美があります。この聖歌の作詞者はスパフォード(1828-1888)という人でした。彼は、シカゴの有能な弁護士だったそうです。そしてイエスキリストを神として信じる熱心なクリスチャンでした。その彼には、妻と4人の娘、そして1人の息子がいて、平穏で幸せな日々をおくっていました。しかしそんなある日、愛してやまない彼の一人息子は、病により、亡くなってしまいます。それだけでも身がよじれるような苦しみですが、彼の不幸はこれだけでは終わりませんでした。その後、1871年、シカゴに大火災が起こり、彼は投資したばかりの莫大な財産を失いました。それにより一家は大きな経済的打撃を受けてしまうのです。2年後の1873年のこと、スパフォードは気落ちした家族への励ましのためにヨーロッパ旅行を計画します。出発の日、彼は急な仕事が入ってしまい、先に妻と4人の娘たちをイギリスへと送り出し、自分は後から合流することにしました。しかし、妻たちが乗った船は、大西洋を航海中に大型船に衝突され、12分後には沈没してしまったのです。彼の妻は奇跡的に助かった何人かの内の一人でしたが、4人の娘たちは残念ながら命を落としてしまいました。その知らせを受け、スパフォードは悲しみと絶望にくれて一人でいる妻の所に行くため、イギリスへ向かいました。   彼自身も苦しみと喪失感に沈み、もうどうしたら良いか分からない悲しみにくれながら船のデッキに立ち尽くしていました。しかしその時、不思議なことに彼の心に人間ではまるで想像することもできないような、力強い慰めと平安、安心が自分の心に流れ込んでくるのを感じました。彼はそれが神様からのものであるとハッキリ分かりました。
 その経験の中で書いたのが、聖歌「安けさは川のごとく」です。「大切な人を失い、深い悲しみに沈む時も、神がともにいてくださるから、私の心は平安である。」というスパフォードの告白に、胸が打たれます。私たちは多くの物を所有して、大切な人に囲まれているなら、自分は幸せであると考えます。そして、それらを失うことはとても辛いことです。でも不思議なことに、大事なものを次々と失ったスパフォードの心には、「安らぎ」が満ちていました。
 私たちが神を信じてこのお方に信頼するとき、絶望と思える状況であっても神様からの慰め平和と安らぎが心を満たすのです。どのような状況にあったとしても、揺るがない心の安らぎを与え、慰めてくださるお方。それが私たちの希望であるイエス・キリストなのです。
 この「希望の光」は、すべての人に与えられています。クリスマスの良き日に、希望の光であるイエス・キリストを信じ、心にお迎えしましょう。
祝福をお祈り致します。