メッセージ


聖書箇所

Uテモテ1章1〜7節

05月11日(日)
メッセージ

大久保旨子
説教題:「母の信仰」

 テモテへの手紙は、捕えられていたパウロが獄中でエペソ教会の牧師であるテモテに書き送った手紙です。テモテはまだ若い牧師でしたがエペソ教会は当時あった教会の中でも最大級の教会でした。ですからパウロからの色々な助言や励ましが彼の牧会を大きく支えたのです。その内容は指導者としての在り方を受け継がせるもので、本当に大切なものは何かを見失わないように思い起こさせ、信仰によって力強い励ましを与えるものでした。テモテはこのパウロからの手紙を何度読み返したことでしょうか。これは愛する指導者パウロからの最後のメッセージだったのです。

 5節に注目しましょう。ここに初代教会の中で三代にわたる信仰の継承者としてのテモテの姿が、はっきりと示されています。テモテの信仰はまず祖母ロイスそして母ユニケに宿ったもので、その後継者がテモテです。イエスキリストへの信仰が、一人の人間の中に起こるだけでなく、それが二代目、三代目そして四代目と受け継がれて行くことは本当に驚くべき、また感謝すべき神様の恵みの働きです。その信仰の継承の陰には、両親を始めとして祖母、祖父、兄弟、姉妹あるいは教会の多くの方々の目に見えないところでの祈りと働きかけがあり、神の導きがあったのです。

 そして、私たちはこの信仰の継承の事実を主の恵みとして喜んで感謝すると同時に、恵みを受けた私たち自身も同じように次世代に対して信仰の継承の責任が与えられている事を深く自覚する必要があります。パウロは3節で、「わたしは、昼も夜も祈りの中で絶えずあなたを思い起こし、…」と言って、彼は信仰の継承について先ず、何をするよりも祈りの大切なことを強調していました。

 信仰が継承され家族や子供や孫に、あるいは人々に信仰が伝えられ育って行くためには、父なる神様に祈ることが何より大事だと教えています。祈って、そして聖霊の働きによって信仰を育てることです。

 全ては父なる神様に祈ることから始まります。こんな人は絶対駄目、この人はとても無理だ、そんなことはありません。先ず祈ることから始めるのです。その時に父なる神様はその人にとって、最も良い時に、最も相応しい方法で、出会ってくださり、信仰へと導いてくださいます。祈りによって人の心は動かされ、変えられていくのです。かつては私たち自身がその祈られる側であったことを忘れないでいたいと思います。

 次に5節で「わたしはあなたの純粋な信仰を思い起こしています。」と語っています。パウロは弟子のテモテの信仰をそのように高く評価していました。パウロが一代目のクリスチャンであるのに対して、テモテが三代目のクリスチャンであったからではないでしょうか。 テモテには自分の家庭環境の中で彼の信仰を育ててくれる者がいたということです。それは彼にとって何れにもまして素晴らしい神の恵みであり、大きな賜物でした。

 神様の恵みの継承を受けたわたしたちは、次世代へ残す遺物として、信仰継承という使命が与えられています。具体的に何をしたら良いのでしょうか。それは愛する家族、特にその子供たちや友人のために信仰の継承の「場所と時」を一度でも多く作る事です。子供や孫の幼少時代に神様と交わった経験を少しでも、一時でも多く作るのです。

 教会の礼拝の経験というものを出来るだけ多く持たせるということは意識的にも無意識的にもその人の魂の基礎経験となります。それが何時か必ずその人の生涯を決定するものとなるからです。

 今日は母の日です。私達が今このように信仰を持っていること自体が私達の為に祈ってくださった人がいるということの証拠です。この記念日に自分のお母さんに、もしくは自分を導いてくださった方を心に想い、感謝の祈りを捧げて愛を表しましょう。そして今度は自分が信仰継承という恵みを与える者となりましょう。
祝福をお祈りいたします。